古本の魅力を広めたい!

vol.3 訪問インタビュー

古本の魅力を広めたい!

浮雲書店 武井裕章さん × 湯川住み方研究所

柳井町商店街にある湯川住み方研究所の自社物件にて、個性あふれる古本屋さんを経営されている若きオーナー武井裕章さん。なぜ古本屋をやりたかったのか?どうしてこの場所を選ばれたのか?開業までの苦労話や商店街の方々との交流などいろいろとお話を伺いました。
思わず応援したくなる、とってもチャーミングな店主さん、地元のみんなにも愛されているようです。

Chapter1

どうして古本屋さんをやりたかったの?

– どうして古本屋さんをはじめられたのですか?

武井:松山に帰ってきたのが2、3年前。
それまでは岡山で学生をしていました。学生時代に古本屋に通ううちに好きになっていきました。
こっちに帰って半年くらいしてから古本屋やりたいな、って。昔の装丁も好きだし、書かれている文章も旧仮名遣いだったりして面白い。戦前のものでもそれほど高くない。古本は読むことで知る楽しさを学ぶのが好き。店主も変わっている人が多くて、それもよくて。

– さっき男子学生の団体さんが、外のワゴンコーナーを見ていましたね。

武井:あんなにまとまって来たのは初めてですよ 笑
でもこの外観のおかげで、若い人もすごく関心を持ってくれてるみたいです。たまたま通りかかる人、仕事帰りの人、昨日は高校1年生の子も来たかな。
入ったことのない人でも、外で立ち話をすると、ずっと気になってたんです、ってよく言われます。

– ゼロから古本屋をはじめるのは大変だったのでは?

武井:愛媛の場合、最初の1年間は古書組合に入れなくて、まとまった仕入れができないんです。なので、最初は友達がフェイスブックで、「誰かいらない本を浮雲書店へ持って行ってあげて」って情報を流してくれて助けてもらいましたね。
以前は広報さんって呼んでる人がいて、ツイッターでここの本のオススメとか流してくれてました。とってもありがたかったです。

湯川:最初は仕入れに苦労されていて、組合にも入れなくて、仕入れるにも資金がいるし、お客さんにも心配されたり・・・・・
でも武井さんは若いし、みんなが応援したくなる、みんなに愛されるお人柄だなって感じました。

武井:古本屋が好きで、自分が地方に行ったら必ず古本屋めぐりをするのに松山には行きたい古本屋がなかったんですよ。
魅力的な仕事もないし、なら自分で古本屋やるしかない!って。でもいろんな人から店舗を借りて家賃払って古本屋なんて絶対儲からないって言われました。だけど好きなモノに囲まれて仕事をさせてもらっているので、どうにか頑張って続けていきたいです。

Chapter2

柳井町商店街&湯川さんとの出会い。

– 物件探しはどのようにされたのですか?

武井:以前からここから自転車で10分くらいのところで独り暮らしをしていたので土地勘はありました。ここの商店街はなんかさびれているけど自由さはあるなと。勘のようなものです。学生の時もここを通っていたし、ここでやりたかったんです。
そこでお世話になっている不動産屋さんにこの商店街で探してほしいと伝えましたが、全く貸してくれるところがなくて。
そんな時、商店街の一画に貸しテナントを募集している情報を聞きつけ、看板に書いてあった貸主の湯川住み方研究所へ思い切って連絡をしたのですが、湯川さんには一度断られました。飲食店を探しているって言われて。そしたら、しばらくしたら湯川さんから電話がかかってきて・・・・・

湯川:一度断ってスミマセン 笑
この場所でお会いして、いろいろお話を伺いましたよね。
実は柳井町商店街の理事もやっているのですが、エリアマネジメントの観点から、入居してもらうなら商店街とマッチしたお店、いい相乗効果が生まれそうなお店がいいな。イメージとして街の食堂か喫茶店がいいなって思ってました。
なので最初は古本屋さんと聞いて、どうしようか決めかねていたんです。でも武井さんが最後の最後に「僕の大好きな古本を松山の人に知ってもらいたいんです!!」って言ったのを聞いて、この人だ!って決めました。

武井:結局は自分の好きな古本をひとりでも多くの方に知ってほしかったし、地元で慣れ親しんだ場所でお店を始めたかったんです。

– お店の改装工事も湯川住み方研究所に発注されたそうですが、内装はどんな風に決めていったのですか?

湯川:ここは元々普通の事務所でした。居抜きではないので多少は改装費用は掛かるかなと。でも開業するにあたって資金も限られていると言われたのでどうしようかと。一緒に事前打合せをしていく中で、本棚は武井さんが全部自分で作るとおっしゃって。

武井:工作は得意なんですよ。下は古いロッカー、上の棚は自分で作りました。
だけどお店の外観だけは湯川さんが任せてほしいって。

湯川:武井さんが写真を持ってこられてて、唯一のリクエストがヨーロッパの古本屋さんみたいに大きめのショーウィンドウが欲しいって。僕の思っていたイメージと近かったんです。外観、特に正面入り口は大切なので、武井さんの手作りではなく僕に任せてほしいとと言いました。

武井:大きなショーウィンドウは最初はディスプレイが上手くできなくて、展示会をやった時にお招きした作家さんが作品をディスプレイするのを見ているうちに、少しづつできるようになってきました。

– 工事後の感想は?

武井:完成引渡し後に中に入って思ったのが、天井が高くなった!外から中が見渡せる!ライティングレールの使い方など細かいところがオシャレになってて、しかもこんなところ誰も見ないだろってところもこだわってて面白かった。大満足でした!

湯川:僕が古本屋さんをあまり知らなかったので、古本屋さんはこうだ!っていう先入観が無くて逆によかったのかも。

武井:オシャレな店内のおかげで予想していた客層と違い、若い方が来てくれて いい意味で裏切られています。

Chapter3

ここからどんな交流が生まれていますか?

– 柳井町商店街の方々とはどんな交流が生まれていますか?

武井:商店街の人たちとのつながりは向かいのお店とかから少しずつ。理事会にも湯川さんと参加したり。でもなにせ人通りが少なくて 笑

湯川:ここはどこかノスタルジックでいい雰囲気を残していると思うんですよ。それでいて立地は松山でも超中心地。だけど忘れられたシャッター商店街。そんなところあったっけ?みたいな。
現在は商売をやめて、日中もシャッターを閉めたままのお店は多いです。だけど僕はこのままではもったいないと思ってます。昔から商売をされていた皆さんの考えや思いは尊重しなければいけないけど、やっぱり商店街なので人がどんどん入ってきて、賑やかで活気があるほうがいいのは間違いないんです。

武井:最近はいろんなイベントに参加しているのですが、移転を考えている人から、柳井町商店街が最近気になっているから空いている物件があったら教えてね。とよく言われます。

湯川:若い武井さんがここで頑張っているのが嬉しい。次々と現れてくれるといいな。

Chapter4

面白いイベント、はじまってます。

– 1年経ってどんな古本屋さんになってきましたか?

湯川:古本を販売するだけでなく、ここで落語会もされているんですよね。

武井:高校の同級生で快楽亭ブラックの弟子で、快楽亭ブラ坊って言います。卑猥な落語ですが、受けはよかったですよ。僕はイマイチでしたが 笑
他にも朗読してくれる方も三重県から家族で来てくれました。たいした儲けにもならないけど旅行がてら楽しんで。こういった出会いや繋がりも嬉しいです。
あとは、松山天神市やブックマルシェにも携わっています。

– これからやってみたいイベントってありますか?

武井:勉強会かな。ひとつのことを学ぶ。例えば織物のこと、四国で昔話ででてくるタヌキのこととか、農業のこととか。みんなで語り合いたいです。

– 最後におススメの本を教えてください。

武井:お店には出してないのですが、今読んでいる本で「空色勾玉」。これちょっと変わってて、児童書なんですが古代にでてくる人たちが登場人物で小説になってます。
まだまだもっと本を読まなくっちゃと思っています。

 

古くからこの商店街でお店を営み、暮らしている方々との関係性を大切にしながら、商店街という場所をもう一度元気にしたいと語り合うお二人の姿は、オーナーと借主というよりも、同志のように見えました。これからの柳井町商店街がとっても楽しみです。
武井さん、お忙しい中お話を聞かせて頂きありがとうございました。

 

収録日 / 2015.5.23
取材・文 / 川井知子

武井裕章

浮雲書店 店主

武井裕章

1985年 松山市生まれ。
学生時代に古本のすばらしさに魅了される。
卒業後職を転々としつつ古本屋開業を計画し、準備開始。2014年5月浮雲書店オープン。地元松山で一人でも多くの人に古本を知ってもらいたく奮闘中。

湯川 一富

湯川住み方研究所代表

湯川 一富

2005年に不動産賃貸業を松山で開始。2011年 自らゼロから企画し、今まで松山に無かったものを創りたいという思いから「住み方マニア新築プロジェクト」をスタート。2013年1月「みつけよう、自分らしい住み方」をコンセプトに、新しい住み方を提案する湯川住み方研究所を設立。2013年5月~柳井町商店街で「家ではなく、まちに住む」をコンセプトに、まちづくりに奮闘中。